特許出願か? 特許申請か?
その昔、「先生!特許出願のほかに特許申請というのがあるんですか?」と真面目に尋ねられたことを思い出したので、今日はその話について。
法律的には「特許出願」が正式な呼び方になります。
おそらく、役所に書類などを提出するときには申請と表現されることが多いので、「特許申請」という間違った呼び方が広まったのだと思われます。明確な定義などはないようですが、申請と出願の違いをザクッと表現するとこんな感じになります。
申請は、認可を得るために必要な形式的・書式的な手続き。
出願は、読んで字のごとく「願書」を「提出」するという、割といかめしい感じの手続き。
特許出願を行う際には「特許願」という「願書」を特許庁に提出します。その願書に「特許請求の範囲」や「明細書」などを添付するという形です。商標の場合は「商標登録願」、意匠の場合は「意匠登録願」となります。
このような「願書」を提出する手続きでおそらく多くの方が経験したであろう苦い思い出があります。
「入学願書」です。
入学願書は「入学させてください、お願いします。」ですし、特許願は「特許をください。お願いします」です。どちらも厳正な試験や審査が課せられている点で「申請」とは大きく異なります。
ちなみに願書のルーツは「願文」にあるようです。「願文」とは、社寺仏閣に戦勝祈願などを祈願する際に奉納した文書のこと。尊氏や義仲の願文は有名ですね。