特許に絡んでNETIS登録技術が抹消された事件
特許との抵触、侵害に対する国土交通省の厳しい姿勢
令和1年9月25日、NETIS登録された技術が掲載中止となり、最終的にNETISから削除されました。
NETISのルールを規定するNETIS実施要領、NETIS実施規約には、次のように明記されています。
”申請情報及び申請技術が、他の技術の知的財産権等を侵害したと認められたとき又は疑いがあるときは、NETIS掲載情報の掲載中止又は削除を実施する。”
NETIS登録申請に際しては他社の特許に細心の注意を払いましょう
現在、NETIS申請に際しては、「申請技術が他社の特許に抵触していないこと」を明記した上で記名捺印した書類の提出が求められています。この書類はNETIS登録の最終段階で求められることが多いため、その段階で抵触の疑いが生じるとそれまで登録準備にかけた労力や時間が無駄になります。従って、可能な限りNETIS登録の初期段階、できれば事前相談を行う段階で申請技術と他社特許との関係を調査(先行技術調査といます)することが望ましいということになります。
技術名称にも注意が必要
NETIS申請書類には「技術名称」の項目があり、ここに申請技術の名称を記載します。ここで注意しなければならないのは、技術名称は商標登録されているケースが多いということです。例えば「工法」に関する登録商標を検索してみると、約2000件もの商標が登録されています(2023/10現在)。これだけの登録数があれば、似たような技術名称が既に商標登録されていることがあるかもしれません。なお、自分で考えた名称であっても既に登録されている商標と同一又は類似する名称は使用できません。NETIS登録申請に際しては、特許だけではなく商標の抵触、侵害の問題もきちんと整理しておきましょう。
弁理士は特許や商標のエキスパート
せっかく労力と時間をかけてようやく登録したNETIS。特許や商標を理由として掲載中止や抹消という不名誉な結果を迎えることは絶対に避けたいものです。弁理士は、特許や商標の出願や登録に関する業務のほかに抵触や侵害に関する業務にも日常的に携わっているため、NETISにおける知的財産権の問題に十分に対応できる知識と経験を備えております。
他社の特許や商標との抵触を調べるには、特許庁が提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用すればある程度の情報を得ることができます。ただし、調査結果を適切に判断するためには多少の専門知識が必要になりますので、知財総合支援窓口や知り合いの弁理士などに相談されるとよいでしょう。