NETISは国土交通省の判断によって掲載情報が削除されることがあります。
NETIS公式サイトの「その他」に削除(または掲載中止)されたNETIS登録技術の一覧が削除理由とともに掲載されています。
今回は、他社の知的財産権の侵害を理由としてNETIS掲載情報が削除された事件について紹介するとともに、そのような事態に陥らないための対策についてお話します。
NETISにおいて知的財産権の侵害に対するペナルティは大きい
令和1年9月25日、あるNETIS登録技術が掲載中止となり、最終的にNETISから削除されました。
どのような場合にNETIS登録技術が削除(または掲載中止)されるかについては、「NETIS実施要領 3.2.8」、「NETIS実施規約 72,102」に詳しく記載されています。今回は「NETIS実施規約 72②」に該当した事件となります。
NETIS実施規約 72②「申請情報及び申請技術が、他の技術の知的財産権等を侵害したと認められたとき又は疑いがあるときは、NETIS掲載情報の掲載中止又は削除を実施する。
この事件を契機として、NETISと知的財産の関係が以前にも増して重視されるようになり、「申請技術が他社の特許に抵触していないこと」を明記して押印した書類の提出が求められるようになりました(地方整備局によって多少の違いがあります)。
この書類はNETIS登録申請の最終段階で求められることが多いため、この段階で他社の知的財産との抵触の疑義が生じるとそれまでにかけた労力や時間が無駄になりかねません。従って、可能な限り早い段階で申請技術と他社の特許権との関係を確認しておくことが望ましいと考えます。
技術名称にも落とし穴がある
NETISでは新技術の名称を選定しなければなりません。選定した名称は技術名称として申請書類に記載します。ここで注意しておかなければならないことは名称は商標登録されているケースが多いという点です。例えば「工法」という文字を含む登録商標は約2000件あります(2023/10現在)。これだけの数があれば、似たような名称があるかもしれません。技術名称の選定にあたっては特許の場合と同様に商標との関係も確認しておいた方がよさそうです。
また知的財産には、先に述べた特許や商標のほかに製品の形状やデザインに関する意匠権というものがあります。土木建築分野の意匠登録も多いので、こちらも注意しておいた方がよいと思います。
弁理士は知的財産のエキスパート
労力と時間をかけて登録したNETISが知的財産の侵害や抵触を理由として削除されるような事態は絶対に避けたいものです。弁理士は、特許や商標、意匠の登録、調査、抵触、侵害などに関する業務など、知的財産全般に関する業務に日常的に携わっており、NETISにおける知的財産の問題に十分に対応できる知識と経験を備えております。
知的財産の調査については、特許庁が提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用すればある程度の情報を得ることができます。ただし、調査結果を適切に判断するためには専門知識が必要になりますので、知財総合支援窓口や弁理士などに相談されるとよいでしょう。