公正取引委員会と独占禁止法

弊所のクライアントから「公正取引委員会からアンケートが届いているけど、どうしたらいいでしょうか。」という相談がありました。
アンケートの内容を確認すると、ある親事業者(下請法上の委託元のこと)との業務上の関わりについての調査のようです。
ちょうどこの親事業者との間で知的財産権の使用許諾に関する契約書を作成していたところだったので、そんな偶然もあるんだねーといった感じでそのときは話を聞いていたのですが、ちょっと調べてみると、どうやら公正取引委員会からこの親事業者に対して「下請事業者の名簿を提出しなさい」とのお達しがあり、その名簿にクライアントが掲載されていたという事実が判りました。

公正取引委員会が所管する法令に独占禁止法があり、その中に「優越的地位の濫用」に関する条項があります。
優越的地位の濫用とは、『自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為』のことです。
このような行為は不公正な取引方法の一類型として禁止されています。

公正取引委員会は、「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査」を実施し、その調査報告書を令和元年6月に公表しています。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jun/190614.html

この調査報告書の中で、ノウハウ・知的財産権に関する優越的地位の濫用行為に該当すると思われる例が挙げられています。

「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書」より引用

では、取引先から優越的地位の濫用に該当するような扱いをされた場合、どのように対処すればよいでしょうか?
また、逆に取引先に優越的地位の濫用と思われないためにはどのような配慮が必要でしょうか?


上記の調査報告書の中の参考資料2に「優先的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」というガイドラインが掲載されておりますので、まずはこれを熟読してください。この問題に対する公正取引委員会の見解が示されておりますので、必ずや何かの参考になると思います。

そして最も重要なことは、契約書を交わす段階で細心の注意を払うことです。先方が提案してきた契約書の内容を精査しないで判子を押す(いわゆる「めくら判」)などはもっての外です。契約書の文章は一般的には難解なものが多いため、読んでいて嫌になるのはわかりますが、精査すべきポイントは契約の内容に応じて概ね決まっていますので、ここは辛抱して熟読してください。専門家に契約書チェックを依頼できる場合もありますので、これを利用する手もあります。

NETISと知的財産

令和1年9月25日、NETIS(ネチス)登録技術が第三者の特許権に抵触しているとして、NETIS掲載情報の提供が中止になりました。
正確にはNETIS登録技術の申請者が登録抹消願を提出したというのが理由のようですが、何れにせよ他人の特許権との抵触が判明したことが引き金となって掲載中止となったようです。
NETIS実施要領の3.2.8(1)②に「申請情報及び申請技術が、他の技術の知的財産権等を侵害したと認められたとき又は疑いがあるときは、NETIS 掲載情報の掲載中止又は削除を実施する。」と明記されているので、これが厳密に適用されたということです。

現在、ある建設会社のNETIS登録申請に関わっているのですが、国土交通省のヒアリングの際に「NETIS申請技術が他人の特許権と抵触・侵害していない旨の書面」の提出を求められました。
ある技術が他人の特許権と抵触しないことを客観的に証明するためには、例えば、特許権と抵触していないことの確認を求める訴訟などを裁判所に提起することができますが、おそらく国土交通省はそこまでは求めていないでしょう。

対応策としては、NETIS申請技術と技術的な関連性の高い特許技術をリストアップし、両技術の差異点を挙げながらNETIS申請技術が特許権と抵触していないことを説明するのが現実的だと考えます。

またNETIS登録申請書類には「技術名称」を記載する欄があります。多くの場合、この欄には「〇〇工法」などのように特徴的な名称が記載されていますが、この技術名称が第三者の商標権と抵触していないか、という問題にも慎重に対処しなければなりません。

特許権や商標権などの知的財産権の抵触・侵害の問題をクリアにしておかなければ、これから申請するNETIS登録は認められないだろうし、既に登録されているNETIS登録技術も掲載中止・抹消という不本意な結果となるかも知れません。

弁理士は、日常的に特許権や商標権の抵触・侵害に関する業務に携わっておりますので、このような問題への対処には十分な知見を備えております。また弊所の弁理士は、国土交通省に勤務していた経験を活かして土木・建築に関する案件に数多く携わり、NETIS登録申請のサポート経験も豊富です。

NETIS登録申請についてお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

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役員従業員個人事業主その他


NETIS登録申請サポート特許権の抵触商標権の抵触その他

回答を急ぐ回答を急がない

伊都国歴史博物館

先日訪れた伊都国歴史博物館、なんでも開館15周年記念ということで、通常は220円の入館料がこの日は無料でした(^.^)
噂には聞いておりましたが、伊都国の王墓から発掘された銅鏡(国宝)の展示は圧巻。写真撮影が許可されていましたので、スナップ程度ですが雰囲気だけでもどうぞ。

銅鏡というとなんだか黒ずんでいて、凸凹していて、これで本当に姿見になるの?と思っていた時期がありましたが、実は教科書などで紹介されている銅鏡は装飾された背面側なのです。表面はピカピカに鏡面仕上げされ、姿を映したり太陽光を反射させて演出に用いられたりしていたのだそうです。

ここには国内最大級の銅鏡である「内行花文鏡(ないこうかもんきょう)」のレプリカが展示されていて、美しく磨き上げられた鏡面に自分の姿を映すことができます。

2000年前の銅鏡は誰のどのような姿を映し出していたのでしょうか。

一の宮めぐり(九州編その5)

前回から少し間が空きましたが、一の宮めぐりはちゃんと続けております。
今回のお社は、肥後国一の宮「阿蘇神社」
熊本県阿蘇市にあります。
ご祭神は健磐龍命(たけいわたつのみこと)。
あまり聞き慣れない名ですが、神武天皇の孫にあたる方のようです。

阿蘇神社の交通安全ステッカーには「違い鷹の羽」がデザインされています。鷹の羽といえば菊池氏の家紋として有名ですが、あちらは「並び鷹の羽」と呼ばれています。
両者の違いは鷹の羽の配置。
2枚の鷹の羽が交差しているのが「違い鷹の羽」、横に並んでいるのが「並び鷹の羽」。「並び鷹の羽」は菊池神社の交通安全ステッカーにもしっかりデザインされています。

そういえば「蒙古襲来絵詞」に菊池武房公が描かれていたことを思い出して、ググッと確認してみたところ…ありました!
菊池家の家人と思われる男性(画像の左端)が掲げる軍旗に「並び鷹の羽」が誇らしげに描かれています。

なお、阿蘇神社の大宮司を代々務める阿蘇氏は、菊池氏とともに九州の南朝方として血湧き肉躍るような戦いを繰り広げるのですが、長くなりそうなので今回はここまで。

中央の赤い軍扇を手にしているのが菊池武房公

格安特許出願について(その2)

「格安特許出願」を上手に活用する方法についてご紹介する前に、そもそも「なぜ特許出願をするのか?」について考えてみたいと思います。

「そんなの、類似品やパクリ商品が出ないようにするためでしょ?」という声が聞こえてきますが、これは究極の理想であって、必ずしも本来的な目的ではないように思います。

特許出願すると、その内容は否応なく1年半後に公開されます。公開後は誰でも自由に、しかも無料で出願書面を閲覧することができます。なので、最終的に特許権を取得できなければ、類似品やパクリ商品を排除することができないだけでなく、むしろ他人に無料でヒントを与えたことになり、本末転倒な結果となってしまいます。

「じゃあ、なぜ特許出願をするのか?」というと、それは「先願による権利」を得るためだと考えます。「先願による権利」とは先願主義(先に出願した者が特許権を得ることができる)を採用する日本においては非常に重要な権利になります。あなたが誰よりも早くアイデアを考え、さらには実現化に成功していたとしても、それ以前に他人が特許出願をしていれば、特許権を得ることができないだけではなく、場合によってはその他人が特許権を得ることも起こり得ます。

また、あなたがアイデアを他人に話してしまった場合、その他人が先に特許出願してしまうかも知れません、そうすると最悪の場合、あなたもその他人も特許権を得ることができなくなり、そのアイデアはフリーの状態になってしまいます。

このように、せっかくいいアイデアを思い付いたとしても、「先願による権利」を得なければ、今後のビジネス展開において大きな足枷となるリスクが発生します。

(次回に続く)

おんらくかん(音楽館)のこと

平成29年7月九州北部豪雨で壊滅的な被害を受けた朝倉市黒川。
この地区におんらくかん(音楽館)という私設の資料館があります。
その名の通り「音」に関する展示物が多いのですが、館長の趣味である乗り物の展示もあります。
私のお気に入りは、「TRADEMARK/Thomas A Edison」が刻印された蝋管の蓄音機。実際に生音を聴くこともできます

幸いにしておんらくかん(音楽館)』は大きな被害を受けることなく営業を続けております。
昨日、館長とスタッフの方とお話をしてきたところですが、災害の影響で必ずしもアクセスが良くないこと、また罹災して閉館しているのではないかという風評もあって、災害以降は来場者が減少しているとのことでした。
なお、最寄りのICからは4本のアクセス道路がありますが、そのうち2本は現在も閉鎖中です。リンク先で閉鎖と表示されている県道588号線は現在は供用されております。昨日この道を通ってみましたが、山道ではありますが見通しも良く舗装もされているのでアクセスはしやすいと思います。道中、『志波柿』ブランドで有名な柿畑の中を通り抜けます。

おんらくかん(音楽館)』の館長の渕上宗重は私の親戚でもあります。
この場をお借りしまして、皆さま、一層のお引き立てどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

P.S.現在、黒川地区は復旧作業が急ピッチで進んでおりますが、周辺道路は作業用の大型車が頻繁に行き来しております。日曜日は作業が休みのため大型車の出入りはないようです。運転に自信のない方は日曜日の来館をお勧めするとのことでした。

令和1年10月現在、元気に営業中です!
エジソン社製「アンベローラ(EDISON AMBEROLA 1A)」
ビクター社製「ビクトローラ・クレデンザ(Victrola Credenza)」
ハイフェッツ(Heifetz)の奏でるチゴイネルワイゼン♪
おまけ

格安特許出願について

弊所が提供する「格安特許出願」サービスは、実のところ「格安」でも「激安」でもなく、サービスの内容に準じた適正な価格です。

特許出願の料金は、「基本料金」+「発明の数に対応した追加料金」+「書面(図面)の枚数に対応した追加料金」+「諸経費」のように計算される場合がほとんどです。発明の内容にもよるのですが、概ね一件あたり30万円前後というのが相場のようです。

弁理士は、一件の特許出願に対して、概ね2〜4日程度かけて書類を作成します。間をとって3日とすると、実働時間は、8h/日×3日=24hとなり、時間単価は、30万円÷24h=1.25万円/hとなります。

これが高いか安いかは一概には言えませんが、弁理士など多くの士業の相談料の相場が5千円/30分であることを考えると、それほど変な数字でもないのかなと思います。「格安特許出願」サービスの弁理士報酬は9.9万円(税別)ですので、この時間単価1.25万円/hからすると、ちょうど1日分の実働に該当します。つまり、「格安特許出願」サービスは、通常3日を要する書類作成を1日で仕上げることによって低料金を実現しています。

書類作成にかける時間が1/3になるのですから、当然のことながら文章の量は減ります。また図面も必要最小限になります。では、文章量も図面の枚数も少ない特許出願には価値がないのかというと、そんなことはありません。少ないボリュームであっても、課題→手段→効果の流れに論理的な破綻がなく、従来技術との差別化が明確であり、かつ発明の構成要件に不用意な限定がなければ、相当な価値のある特許出願といえます。

次回、「格安特許出願」を上手に活用する方法についてご紹介します。

一の宮めぐり(四国編)

先日の3連休を利用して四国に行ってきました。
四国4県にはそれぞれ一の宮が鎮座しております。
①阿波國一の宮『大麻比古(おおあさひこ)神社』(おおあさひこ)
②伊予國一の宮『大山祇(おおやまづみ)神社』
③讃岐國一の宮『田村神社』
④土佐國一の宮『土佐神社』

今回は4社のうち3社をお参りすることができました。残念ながら土佐神社はタイムオーバーで参拝できず。また大麻比古神社はステッカーは授与されていないようでした。残念。。。

『田村神社』はちょっと混沌としたさながら神様のテーマパークのような神社。
ご祭神は倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめ)。早口言葉のような名前ですね。ちょっとギョッとするような事故が原因でお亡くなりになりました。

『大山祇神社』は瀬戸内海に浮かぶ島に鎮座しています。日本総鎮守の称号を有する大変に格式の高い社。
ご祭神は大山積神(おおやまづみのかみ)。その名の通り山の神さまです。
木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメ)のお父さんとしても有名です。
大山祇神社の見どころはなんといっても宝物館でしょう。千円と高めの設定ですが、館内に入るとそれも納得です。

九郎義経が壇ノ浦で着用していたという鎧。平重盛の太刀。弁慶の薙刀。巴御前の薙刀。平教経の弓。護良親王の太刀などなど。
館内を巡りながら「凄い」「すげ〜」と何度呟いたことか(笑)

一の宮めぐり(番外編)

私の住む福岡県には以前に紹介した一の宮の他にもたくさんの由緒ある神社がありますが、その中でも筆頭に挙げられるのは「宗像大社」だと思います。
御祭神は、田心姫(たこりひめ)、湍津姫(たぎつひめ)、市杵嶋姫(いちきしまひめ)の宗像三女神。記紀によれば、アマテラスがスサノオの剣を噛み砕いた際に誕生したのだそうです。
日本に数多おられる神々のうち特に高貴とされる神が三柱あって、アマテラス(伊勢神宮)、大国主(出雲大社)と並んで宗像三女神(宗像大社)にのみ「貴(むち)」の尊称が与えられています。

宗像大社は世界遺産に登録された九州で唯一の神社
実はこの件に関して弁理士として少しだけ関与することができました。
その成果はこちらです。

ちなみに一の宮めぐりプロジェクト(仮称)の参拝記念として交通安全ステッカーを授与いただいておりますが、日本で最初に交通安全ステッカーやお守りの授与を始めたのは宗像大社なのだそうです(宗像大社ウェブサイトより)。
最近はあまり見かけなくなりましたが、ちょっと旧式の車には宗像大社のステッカーが貼られていたりしますね。

交通安全ステッカーは赤と青があり、玉串料は200円です。

一の宮めぐり(九州編その4)

筑前国一の宮「筥崎宮」
福岡には一の宮が2社あります(筥崎宮と住吉神社)
奈良時代、国司が任国に赴任した際には国内の有力神社を巡拝するのが習わしだったようで、最初に参拝する神社が一の宮、次に参拝するのが二の宮、三番目が三の宮と呼ばれるようになったそうです。
ということは筑前国では時代によって神社の勢力に変化があったのでしょうか?

筥崎宮のご祭神は応神天皇、神功皇后、そして玉依姫です。
八幡宮に玉依姫が祀られているのは珍しいように思います。
ちなみに玉依姫は初代神武天皇の母君です。

筥崎宮は元寇に縁が深いところ。
亀山上皇の「敵国降伏」は有名ですが、教科書にも掲載されている「蒙古襲来絵巻」には、筥崎宮の鳥居の周辺に御家人たちが集結している様子が描かれています。またこの絵巻には住吉神社の鳥居も描かれています。
どうやら鎌倉時代には両社とも一の宮的な神社として認識されていたようですね。

蒙古襲来絵詞に描かれた筥崎宮の鳥居
蒙古襲来絵詞に描かれた住吉神社の鳥居