「部分意匠」をご存知ですか?

Appleの人気商品は部分意匠で保護

まずはこちらをご覧ください。

1585727_000001-152x300 「部分意匠」をご存知ですか?
意匠登録第1585727号

Appleのワイヤレスイヤホン「AirPods」です。
これが世に出たときは衝撃でした。円筒形に延びたバッテリー収納部の形状がまるでうどんが垂れ落ちているように見えることから、SNSで「#耳からうどん」と揶揄されていました。
このAirPodsのデザインについて、アップル社は意匠権を取得しています(意匠登録第1585727号)。さらに別の意匠権も取得しています(意匠登録第1585850号)。

それがこちら。

1585850_000001-152x300 「部分意匠」をご存知ですか?
意匠登録第1585850号

この2つの意匠の違いが分かりますか?
上の意匠は全体が実線で表されています。これに対して下の意匠は、円筒形に延びたバッテリー収納部、いわゆる「うどん部分」のみが実線で表され、「ヘッド部分」は点線で表されています。
両者の違いはヘッド部の形状の表現方法が実線か点線かの差だけです。この一部分を点線で表した意匠が「部分意匠」と呼ばれるものです。

部分意匠はずる賢い模倣品対策に有効

部分意匠は、実線で表された部分に権利が発生します。AirPodsの場合、実線で表された「うどん部分」が権利範囲であり、点線で表された「ヘッド部分」は非権利範囲となります。従って、ヘッド部分の形状やスピーカーの孔の位置などの非権利範囲の形態をいくら変えてたとしても、権利範囲である「うどん部分」の形態を真似した偽物や模倣品は、アップル社の意匠権を侵害する類似品として市場から排除されます。
一昔前は売れ筋商品の形態をそっくりそのまま真似した模倣品がたくさん出回っていましたが、最近では模倣する側の技術力やデザイン力が向上したためか、以前のような露骨なデッドコピーはあまり見かけなりました。とはいえ模倣が全くなくなったということではなく、デッドコピーこそしないものの、商品の一部分だけを取り入れた巧妙な(ずる賢い)模倣が行われるようになりました。このような模倣に対して、従来のような全体の形態を保護する意匠権では排除できないという問題が指摘されていました。
AirPodsの形態の特徴は「うどん部分」にこそあるので、アップル社は部分意匠を活用することによって、模倣品の被害からAirPodsを守ろうと考えたのです。

別のメーカーになりますが、ノートパソコンに関する意匠権も登録されています。

1566226_000001-300x219 「部分意匠」をご存知ですか?

キーボード部分が青色で着色されています。これも「部分意匠」の意匠権です。点線の代わりに着色によって権利範囲と非権利範囲を区別しています。両者の境界さえ明確であれば、点線でも着色でも表現方法は問われません。

部分意匠に興味が湧いてきましたか?