iPod touchと商標権〜アップル社の知財戦略の一端が見えた

iPod touchと商標権〜アップル社の知財戦略の一端が見えた

先日、ほぼ未使用の第6世代iPod touchの中古品を元値の30%程の価格で購入しました。有線イヤホン端子がついたiOS端末という条件で探すと、現状ではほとんどiPod touch一択となります。

iPod touchについてネットで情報収集したところ、第7世代(現行型)と第6世代(旧型)では搭載するチップがA10 FusionA8かの違いしかなく、肝心の音質には差がないとのことだったので、第6世代で十分との結論に到ました。

指定商品の拡大から見えてくるアップル社の戦略

iPod touchに関するちょっと面白い記事をみつけました。
“Apple Extends iPod Touch Trademark to Include Gaming Devices”

この記事によれば、「商標『iPod Touch』は、2008年以来、第9類(テキスト、音響および映像に関する携帯式電子端末)のみを指定商品としていたが、これを第28類(携帯式ゲーム機)にまで拡大したことが、2019年1月、米国特許商標庁(USPTO)の公開公報によって明らかになった。」とのことです。続けて、「iPod touchは、発売開始以来ずっとゲーム機としても利用されてきたのに、どうして10年以上経過した今頃になって指定商品を拡大したのか?」「単に競合他社に対する防衛策とも考えられるが、新型登場の噂もあるだけにより進化した第7世代への期待が高まる。」と書かれています。

その後、2019年5月に発売された第7世代iPod touchは、前記記事の予想通り、より強力なCPUが搭載されるとともにRAMが1GBから2GBに拡張されました。

私はゲームには詳しくないのですが、このアップデートによって第7世代iPod touchは第6世代では対応しきれなかった多くのゲームがプレイできるようになったそうです。そう考えると、このタイミングで指定商品の範囲を拡大した行為が非常に戦略的なものであったことがわかります。

知財戦略は成長のカギ

このことだけを見てもアップル社の知財戦略が適切に機能していることは一目瞭然です。

適切なタイミングで適切な権利を取得する。一見すると簡単なようですが、これを完璧にやり遂げるためには、開発、生産、広報、知財などの各部門における緊密な連携と、これらを統括する責任者がいなければ到底できない技だと思います。