一の宮めぐり(九州編その3)

筑前国一の宮「住吉神社」
御祭神はその名の通り住吉三神です。

古事記によれば、黄泉の国から逃げ帰った伊弉諾大神が筑紫日向の橘の小門の阿波岐原の地で禊祓をしたときに住吉三神(底筒男神(そこつつのおのかみ)、中筒男神(なかつつのおのかみ)、表筒男神(うわつつのおのかみ))が誕生したとされています。
この禊祓の地に創建されたのが住吉神社という訳です(諸説あり)。

住吉三神は海にまつわる神なので、住吉系の神社は海辺にあることが多いのですが、鎌倉時代の古地図をみると住吉神社から長浜の間は海だったことが分かります。

商標の力

弊所の顧問先との打ち合わせに際に、社長から「日本政策金融公庫の刊行物に当社の事例が掲載されましたよ」と冊子を渡されました。
冊子は『知財とともに世界へ』と題され、知的財産権に関する3社の取り組みが紹介されていました。3社とも海外展開に備えて戦略的に知的財産権を取得している小規模企業です。そのうちの一社として弊所の顧問先が採り上げられ、知的財産権に関する取り組みが紹介されていました。

紹介記事を読んで特に印象的だったのは、商標登録に対して過信せず、効力よりは取引先に与える信頼感や安心感に重きを置いているという点です。
世の中に健康の万能薬が存在しないのと同じく、ビジネスに対する万能薬、即効薬は存在しないと思います。特にビジネスの場合、相手があってのものですから、その存在を常に意識しながら戦略を立てていくという地道な作業が必要になります。

商標登録を例に挙げれば、相手に与える影響を想定しながら取得していくことが有効なように思います。ここで相手とは商品を購入する消費者であり、また商品の販売を担う店舗や問屋、商社などになります。基幹商品になりそうなものについては商標登録し、長く使用し続けることで、消費者との間に共感や信頼感などを構築することができます。また取引者に対しては、商標への真摯な取り組みが事業パートナーとしての信頼性の向上に繋がります。

ブランドというものは一朝一夕にできるものではなく、共感や信頼感など他者との間の継続した関係性を一つ一つ積み上げていくことでしか構築できないものでではないでしょうか。

一の宮めぐり(九州編その2)

一の宮巡り第二弾は、肥前国一の宮「千栗八幡宮」
「ちくり」と読んでしまいそうですが「ちりく」と読みます。

なんでも夢の中で八幡神に誘われてこの地を訪れた人が見たものは、千本の栗の木が逆さに生い茂っているというなんとも不思議な光景。
だから「くり」が「りく」になったのだとか。
まさに由来を知らなければ絶対にそうは読めない漢字の筆頭格ですね。

御祭神は、応神天皇(八幡神)、仲哀天皇、神功皇后という北部九州に縁の深い親子です。

ちなみに仲哀天皇はあのヤマトタケルのご子息だったりします。

一の宮めぐり(九州編)

急に思い立って始めた一の宮めぐり。
参拝記念には御朱印ではなく交通安全ステッカーを授けていただきましょう。

第一弾は筑後国一の宮「高良大社」
御祭神は高良玉垂命、八幡大神、住吉大神

懐良親王、菊池武光ら九州南朝方が布陣した地だけあって、眼下には筑後平野が一望できます。

米国商標『KIMONO』を巡る一連の騒動について(その4)

前回の記事の最後の部分で「大切な商標は他人に取得させない」と書きました。
では他人に商標権を取得させないためにはどのような手段があるでしょうか?
いくつかの手段が考えられますが、代表的なものとしては、①他人の行動を監視し、大事に至る前に手を打つ②自らが先に商標権を取得する、の何れかになるでしょう。

①は、他人が出願した商標の登録を阻止するために特許庁に情報提供を行うのが一般的です。商標は出願されるとその内容が公開されます。自分にとって不都合な商標が出願されていることを知った第三者は、その商標が登録できない正当な理由を付した情報提供を行うことができます。
審査官は提供された情報を参酌しながら審査を行いますが、必ずしも情報提供者の思惑通りに審査が進むとは限りません。登録査定となった場合には異議申立、無効審判など費用と時間を要する手段しか残されていません。
そもそも誰がいつ出願するかなんて分からないわけですから、膨大な数の公開公報に常に目を通しておく必要があります。専属のスタッフがいるような大企業や特許事務所なら可能でしょうが、多くの場合あまり現実的な対応とはいえません。

②は、最も有効な防御手段となります。日本を始め世界のほとんどの国は先願主義を採用しています。先願主義とは、一番最初に出願した者が権利を得ることができるというルールです。例えば、Aさんは世界的大企業、Bさんは無名な個人であったとしてもBさんが先に出願していればAさんは商標権を取得することはできません。Aさんは名称を変更するか、Bさんからライセンスまたは譲渡を受けなければなりません。このようなリスクを冒したくなければ、Bさんより先に出願する。ただそれだけでいいのです。

『KIMONO』は普通名称だから大丈夫?
他国の文化を尊重する良識は世界共通だから話せばわかるはず?
なにか問題があれば市長や大臣が話をつける??

商標権(その他の知的財産権)には先願主義という共通のルールがあって、誰にでも利用の門戸が開かれています。上手に利用すれば心強い味方になってくれますが、敵にまわすとこれほど怖いものはありません。

今回の一連の騒動から何らかの教訓を得るとすれば、自戒の念も込めて以下のようにまとめることができそうです。
①自らのビジネスに関連のありそうな制度について正しい理解を心がける
②その制度を利用した場合と利用しない場合の得失を勘案する
③兵は拙速を聞く(孫武)
④道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である(二宮尊徳)


米国商標『KIMONO』を巡る一連の騒動について(その3)

前回の記事の最後に「それでは、米国において『KIMONO』は商品「被服」の普通名称として認識されているか?が大きな問題となります。」と書きました。

適正に審査が行われている限り、KIMONOが被服の普通名称として認識されていれば登録されないはずです。
しかし、KIMONOが普通名称に該当しないと思われる商品、例えば、カーダシアン側が出願した「かばん類」や「下着類」に対しては商標登録される可能性は十分にあります。

ここで注意すべきことは、ある名称が普通名称であるか否かを判断するのは行政や司法であるという点です。もちろん市場における認知度や商品の直接の需要者となる大衆の感覚というものも考慮には入れるのでしょうが、最終的には一人または数人の公人によって判断されます。もし誤った判断(今回の騒動に対して批判の声を上げた側に不利な判断)がなされた場合は商標登録(もしくはその前段階の登録査定公告)となります。この段階になると登録を取り消すためには相当の労力(と資金)が必要になります。もちろん勝てるという保証はどこにもありません。

とすれば、リスク管理の観点からとるべき手段はただ一つ、大切な商標は他人に取得させない、ということです。

(次回へ続く)

平戸の遣唐使

平戸市内を車で移動中に「弘法大師渡唐解纜之地」という案内板が目に入りました。
「かっ、解纜??」
時間に余裕もあったのでちょっと立ち寄ってみました。

辞書で調べてみたところ、解纜とは、纜(ともづな)を解く=出帆のことなのだそうです。
今から1200年余り前、弘法大師(この時点では佐伯眞魚か)はこの田の浦の地から唐の長安を目指して出帆したのでした。
といっても弘法大師はこの地に滞在していた訳ではなく、元々は難波津(大阪港)で乗船しているので、田の浦はただの寄港地ということになります。

梅雨の晴れ間の穏やかな海をぼんやりと眺めながら、ふと、遣唐使はどのようなルートを辿って長安を目指したのだろうか?という疑問が湧いてきました。
相当数の遣唐使船が沈没したり行方不明になったりしたようです。
遣唐使は4隻体制で編成されていたようですが、弘法大師が渡唐した際には無事に到着したのは4隻中2隻だったといわれています。
その2隻の船にはそれぞれ弘法大師と伝教大師が乗船していたというのですから、まさに御仏の加護というべきなのでしょうか。
ちょっと出来過ぎているような感じもしますが。。。

遣唐使が辿ったルートについてはいつか調べてみましょう。

米国商標『KIMONO』を巡る一連の騒動について(その2)

前回の投稿から少し間が空きましたが、商標『KIMONO』を巡る一連の騒動について思うところを数回に分けて述べていきます。
すでに旬は過ぎた感はありますが、商標的には色々と考えさせられることも多い事件でしたので、みなさんが商標を考えるときの参考にしていただければいいかな〜といった緩めの感じで進めていきます。

この事件を巡っては、賛否両論(否が圧倒的ですが)様々な意見がネット上を飛び交っていますが、否定的な意見をまとめると、
①普通名称を私物化するなどけしからん!
②ましてや下着の名称にするなんて以ての外だ、我が国の文化を侮辱しておる!
この2つに集約できるかなと思います。

ここで、普通名称は商標登録できるのかが問題となりますが、答えは、商標登録できないということになります。

「普通名称」とは、その商品または役務(サービス)の一般的な名称であると認識されるに至った名称をいいます。例をあげると、商品「りんご」について『Apple』、役務「小口貨物を目的地まで配送するサービス」について『宅配便』は普通名称とみなされ、商標登録を受けることができません。

ここで注意していただきたいのは、「その商品または役務(サービス)」という部分です。『Apple』は商品「りんご」については普通名称であるため商標登録できませんが、商品「スマートフォン」については普通名称ではないため商標登録できます(他に拒絶理由がない場合)。

『KIMONO』は商品「被服」に対しては普通名称であると考えられるため、商標登録できないのですが、他の商品については普通名称ではないため商標登録できる場合があります。実際に商品「化粧品」「せっけん」に対して商標『KIMONO』が登録されている例(商標登録第5757200号)もあります。

ちなみに先に例にあげた『宅配便』とは一字違いの『宅急便』は、ほぼ全ての商品および役務の分野において、ヤマト運輸株式会社もしくはヤマトホールディングス株式会社が商標権を所有しています。

それでは、米国において『KIMONO』は商品「被服」の普通名称として認識されているか?が大きな問題となります。

(次回へ続く)

米国商標『KIMONO』を巡る一連の騒動について

米国タレントのキム・カーダシアンさんが自身のプロデュースするインナーウェアのブランド名として『KIMONO』を米国で商標登録出願した事件?は、本人のTwitterでブランド名の変更を表明したことで一応の収束がみられそうな感じです。

この件に関する世間の反応は、インターネットを見る限りでは「日本文化への侮辱」「文化の盗用、私物化」などかなり手厳しいようです。

著名な着物ブランドが多数存在する京都市の門川市長は、「私たちは、『KIMONO』『きもの』『着物』の名称は、きものやきもの文化を愛する全ての人々の財産であり、私的に独占するものではないと考えます。」という旨の文書をカーダシアンさん側に送付し、また世耕経済産業大臣は、Twitterで「着物は日本が世界に誇る文化です。しっかりと審査してくれるよう、アメリカ特許商標庁にも話をしたいと思います。」と投稿したそうです。

あくまでもインターネットを通じての情報のみで詳しい背景などは全く分かりませんが、部外者かつ商標の専門家としての立場から眺めると、この件に関してはいくつか気になることがありますので、次回の記事から少しずつお話しさせていただきます。

(次回へ続く)