知的財産は、その性質によって3つのカテゴリに分類されます。
◆人間の創造的活動により生み出されるもの・・・発明(アイデア)、意匠(デザイン)、著作物
◆事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの・・・商標(ブランド)
◆事業活動に有用な技術上又は営業上の情報・・・研究データや顧客データなど
(1)発明
おそらくは多くの方がご存知であろう知的財産の代表的なものです。普段の何気ない会話の中で、「へ〜、それってすごい発明じゃない。特許とれば大儲けだよ。」という話をしたり聞いたりされた方は多いのではないでしょうか。発明は特許権を取得することによって保護され、その実施(生産、販売、使用など)を独占することができます。ですから多くの人や企業が欲しがるような発明であれば大儲けできるでしょう。特許権は財産権ですので、他人に売ったり使わせたりすることも可能です。自分では生産したり販売したりしないけれど、他人にライセンスを与えることで利益を得るという使い方もできます。
よく受ける相談に、「現物(試作品)がないと特許は受けられないのですか?」というのがあります。答えはNoです。特許を受けるためには現物も試作品も必要ありません。では全くの夢物語でよいのかというとそうではなく、その発明(アイデア)を実施するための形態、すなわち構造や仕組み、製造方法や実施方法などを文章(と参考図面)で説明できる程度には完成されていなければなりません。
発明が特許を受けるためには、さらに新規性進歩性が求められます。新規性とは、特許出願した発明が未だ世に知られていないことをいいます。既に知られている発明はどんなに優れたものであっても特許を受けることはできません。自らの不注意で他人に漏らしてしまった場合も同様です。試作品の評判がよかったので特許をとりたいという相談を受けることがありますが、厳密に言えば、試作品の販売などにより他人が発明の内容を知り得た場合には新規性を喪失していることが多いので、残念ながら特許を受けることができない場合があります。状況によっては救済策や対応策も考えられますので、詳しくは弁理士にご相談ください。
進歩性とは、特許出願した発明が既に世に知られている発明から容易に思いつくことができる程度のものでないことをいいます。特許出願は特許庁において審査され、特許を受けることができるか(特許査定)、受けることができないか(拒絶査定)のどちらかとなります。この拒絶査定の理由として最も多いのが、「この発明には進歩性がない」というものです。特許出願をする前には、十分な先行技術調査を行い、進歩性(と新規性)の見極めをしておくことが、無駄な特許出願を避けるために重要となります。
(2)意匠
意匠というはあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、英語でいうところのデザインのことです。皆さんの身の回りにある様々な商品、たとえば携帯電話や自動車、鞄や靴などのデザインは意匠権によって保護されています。デザインと聞くと、有名なデザイナーが製作したような格好の良いものではないとダメなのかと思われるかもしれませんが、意匠登録の要件にはデザインの上手下手というのはありませんので安心してください。
意匠登録を受けるためには、特許の場合と同様に新規性進歩性(創作非容易性)が求められます。意匠権は登録日から20年間存続し、その間における登録意匠及びこれに類似する意匠の実施を独占することができます。知的財産を考えるとき、どうしても特許に眼が向きがちですが、意匠権も特許権に負けず劣らず強力な権利であり、しかも権利の取得や維持にかかる費用は格段に安いというメリットもありますので、是非有効に活用してください。
(3)商標
商標は知的財産の中で最も多くの方に必要とされるものではないでしょうか。特許(実用新案)や意匠など、創造的活動の過程で生み出される知的財産は、主としてメーカー(製造業)の方に必要とされますが、事業活動に用いられる商品やサービスを表する名称、すなわち商標は、メーカーだけではなく、販売業や流通業、飲食業などのサービス業に従事される方にとっても十分に意識すべきものだからです。
仮にあなたがある商品をインターネット経由で販売していたとしましょう。商品を紹介するホームページにはあなたのお店の名前の他に商品の画像や説明が掲載されているはずです。この場合、もしあなたのお店の名前と同じか類似した名前をその商品について商標登録していた人がいれば、あなたの商行為は商標権の侵害に該当する可能性が非常に高いのです。そうなれば、ホームページからその商品に関する記事を削除するとともに通販を即時停止しなければならなくなります。通販以外にも店頭でも販売していたり、卸売りなどをしていた場合も同様に販売や取引を停止しなければなりません。もちろん、お店の名前を他人の登録商標と似ても似つかないものに変えてしまえば問題はなくなるのですが、せっかく築き上げたお店の信用や知名度が低下することは避けられないでしょう。
このような問題は販売業に限らずおよそ商行為を行う場合には必ず付きまとってきます。それでは、このような問題に巻き込まれないためにはどうすればよいのでしょうか?まず第一に行っていただきたいのは、お店の名前をホームページなどに大々的に掲載する前に、できれば名前を決める前の段階で商標調査を行うことです。似たような商品に似たような名前が既に登録されていた場合には商標権の侵害となる可能性が高いので、名前の変更も含めて事業の再検討が必要です。そして第二の行動として、似たような名前が未登録であれば迷うことなく商標登録出願を行い、商標権を取得しましょう。
商標権を取得することのメリットはたくさんありますが、一番のメリットは、商標を自分だけが独占して使用できるということでしょう。商標を長期にわたって独占的に使用し続けると、商標自体に信頼感や信用力が付加され、ブランド力を発揮するまでに至る可能性も出てきます。ブランド力を手に入れた商標は、お金には換えられない貴重な財産であり、物言わぬセールスマンとして会社の顔になってくれることでしょう。