月別: 2019年8月

一の宮めぐり(番外編)

私の住む福岡県には以前に紹介した一の宮の他にもたくさんの由緒ある神社がありますが、その中でも筆頭に挙げられるのは「宗像大社」だと思います。
御祭神は、田心姫(たこりひめ)、湍津姫(たぎつひめ)、市杵嶋姫(いちきしまひめ)の宗像三女神。記紀によれば、アマテラスがスサノオの剣を噛み砕いた際に誕生したのだそうです。
日本に数多おられる神々のうち特に高貴とされる神が三柱あって、アマテラス(伊勢神宮)、大国主(出雲大社)と並んで宗像三女神(宗像大社)にのみ「貴(むち)」の尊称が与えられています。

宗像大社は世界遺産に登録された九州で唯一の神社
実はこの件に関して弁理士として少しだけ関与することができました。
その成果はこちらです。

ちなみに一の宮めぐりプロジェクト(仮称)の参拝記念として交通安全ステッカーを授与いただいておりますが、日本で最初に交通安全ステッカーやお守りの授与を始めたのは宗像大社なのだそうです(宗像大社ウェブサイトより)。
最近はあまり見かけなくなりましたが、ちょっと旧式の車には宗像大社のステッカーが貼られていたりしますね。

交通安全ステッカーは赤と青があり、玉串料は200円です。

一の宮めぐり(九州編その4)

筑前国一の宮「筥崎宮」
福岡には一の宮が2社あります(筥崎宮と住吉神社)
奈良時代、国司が任国に赴任した際には国内の有力神社を巡拝するのが習わしだったようで、最初に参拝する神社が一の宮、次に参拝するのが二の宮、三番目が三の宮と呼ばれるようになったそうです。
ということは筑前国では時代によって神社の勢力に変化があったのでしょうか?

筥崎宮のご祭神は応神天皇、神功皇后、そして玉依姫です。
八幡宮に玉依姫が祀られているのは珍しいように思います。
ちなみに玉依姫は初代神武天皇の母君です。

筥崎宮は元寇に縁が深いところ。
亀山上皇の「敵国降伏」は有名ですが、教科書にも掲載されている「蒙古襲来絵巻」には、筥崎宮の鳥居の周辺に御家人たちが集結している様子が描かれています。またこの絵巻には住吉神社の鳥居も描かれています。
どうやら鎌倉時代には両社とも一の宮的な神社として認識されていたようですね。

蒙古襲来絵詞に描かれた筥崎宮の鳥居
蒙古襲来絵詞に描かれた住吉神社の鳥居

一の宮めぐり(九州編その3)

筑前国一の宮「住吉神社」
御祭神はその名の通り住吉三神です。

古事記によれば、黄泉の国から逃げ帰った伊弉諾大神が筑紫日向の橘の小門の阿波岐原の地で禊祓をしたときに住吉三神(底筒男神(そこつつのおのかみ)、中筒男神(なかつつのおのかみ)、表筒男神(うわつつのおのかみ))が誕生したとされています。
この禊祓の地に創建されたのが住吉神社という訳です(諸説あり)。

住吉三神は海にまつわる神なので、住吉系の神社は海辺にあることが多いのですが、鎌倉時代の古地図をみると住吉神社から長浜の間は海だったことが分かります。

商標の力

弊所の顧問先との打ち合わせに際に、社長から「日本政策金融公庫の刊行物に当社の事例が掲載されましたよ」と冊子を渡されました。
冊子は『知財とともに世界へ』と題され、知的財産権に関する3社の取り組みが紹介されていました。3社とも海外展開に備えて戦略的に知的財産権を取得している小規模企業です。そのうちの一社として弊所の顧問先が採り上げられ、知的財産権に関する取り組みが紹介されていました。

紹介記事を読んで特に印象的だったのは、商標登録に対して過信せず、効力よりは取引先に与える信頼感や安心感に重きを置いているという点です。
世の中に健康の万能薬が存在しないのと同じく、ビジネスに対する万能薬、即効薬は存在しないと思います。特にビジネスの場合、相手があってのものですから、その存在を常に意識しながら戦略を立てていくという地道な作業が必要になります。

商標登録を例に挙げれば、相手に与える影響を想定しながら取得していくことが有効なように思います。ここで相手とは商品を購入する消費者であり、また商品の販売を担う店舗や問屋、商社などになります。基幹商品になりそうなものについては商標登録し、長く使用し続けることで、消費者との間に共感や信頼感などを構築することができます。また取引者に対しては、商標への真摯な取り組みが事業パートナーとしての信頼性の向上に繋がります。

ブランドというものは一朝一夕にできるものではなく、共感や信頼感など他者との間の継続した関係性を一つ一つ積み上げていくことでしか構築できないものでではないでしょうか。

一の宮めぐり(九州編その2)

一の宮巡り第二弾は、肥前国一の宮「千栗八幡宮」
「ちくり」と読んでしまいそうですが「ちりく」と読みます。

なんでも夢の中で八幡神に誘われてこの地を訪れた人が見たものは、千本の栗の木が逆さに生い茂っているというなんとも不思議な光景。
だから「くり」が「りく」になったのだとか。
まさに由来を知らなければ絶対にそうは読めない漢字の筆頭格ですね。

御祭神は、応神天皇(八幡神)、仲哀天皇、神功皇后という北部九州に縁の深い親子です。

ちなみに仲哀天皇はあのヤマトタケルのご子息だったりします。

一の宮めぐり(九州編)

急に思い立って始めた一の宮めぐり。
参拝記念には御朱印ではなく交通安全ステッカーを授けていただきましょう。

第一弾は筑後国一の宮「高良大社」
御祭神は高良玉垂命、八幡大神、住吉大神

懐良親王、菊池武光ら九州南朝方が布陣した地だけあって、眼下には筑後平野が一望できます。

米国商標『KIMONO』を巡る一連の騒動について(その4)

前回の記事の最後の部分で「大切な商標は他人に取得させない」と書きました。
では他人に商標権を取得させないためにはどのような手段があるでしょうか?
いくつかの手段が考えられますが、代表的なものとしては、①他人の行動を監視し、大事に至る前に手を打つ②自らが先に商標権を取得する、の何れかになるでしょう。

①は、他人が出願した商標の登録を阻止するために特許庁に情報提供を行うのが一般的です。商標は出願されるとその内容が公開されます。自分にとって不都合な商標が出願されていることを知った第三者は、その商標が登録できない正当な理由を付した情報提供を行うことができます。
審査官は提供された情報を参酌しながら審査を行いますが、必ずしも情報提供者の思惑通りに審査が進むとは限りません。登録査定となった場合には異議申立、無効審判など費用と時間を要する手段しか残されていません。
そもそも誰がいつ出願するかなんて分からないわけですから、膨大な数の公開公報に常に目を通しておく必要があります。専属のスタッフがいるような大企業や特許事務所なら可能でしょうが、多くの場合あまり現実的な対応とはいえません。

②は、最も有効な防御手段となります。日本を始め世界のほとんどの国は先願主義を採用しています。先願主義とは、一番最初に出願した者が権利を得ることができるというルールです。例えば、Aさんは世界的大企業、Bさんは無名な個人であったとしてもBさんが先に出願していればAさんは商標権を取得することはできません。Aさんは名称を変更するか、Bさんからライセンスまたは譲渡を受けなければなりません。このようなリスクを冒したくなければ、Bさんより先に出願する。ただそれだけでいいのです。

『KIMONO』は普通名称だから大丈夫?
他国の文化を尊重する良識は世界共通だから話せばわかるはず?
なにか問題があれば市長や大臣が話をつける??

商標権(その他の知的財産権)には先願主義という共通のルールがあって、誰にでも利用の門戸が開かれています。上手に利用すれば心強い味方になってくれますが、敵にまわすとこれほど怖いものはありません。

今回の一連の騒動から何らかの教訓を得るとすれば、自戒の念も込めて以下のようにまとめることができそうです。
①自らのビジネスに関連のありそうな制度について正しい理解を心がける
②その制度を利用した場合と利用しない場合の得失を勘案する
③兵は拙速を聞く(孫武)
④道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である(二宮尊徳)