実用新案な交通安全ステッカー

投稿者: | 2019年12月15日

沖縄県護国神社で授与される交通安全ステッカーの包装には「実用新案登録済」と表示されています。「新強力軟質反射ステッカー」とも表示されています。何が「新しく」て「強力」なのか、これだけでは不明ですので、特許庁の「特許・実用新案検索」を用いて登録実用新案公報を調べてみました。

「交通安全」「ステッカー」をキーワードとして検索してみたところ、該当しそうなものが2件ありましたが、おそらくは、実用新案登録第3003535号だろうと思います。

請求項は、「軟質材からなる基板に、その表面に軟質材からなる反射板を空気層を介して設ける一方、裏面に粘着剤を塗布すると共に該粘着剤上に剥離紙を貼着してなる反射ステッカー。」
解決課題の一つは、「従来の反射ステッカーは、硬質であるから折り曲げることができず、このため丸みのある箇所に貼ることができなかった。」というもの。

基板とは、ステッカーの形状を保持するための土台のようなものです。基板の裏面が粘着層になっています。反射板は、再帰性反射という、入射した光を再び入射方向に帰す性質を持っています。ちなみに鏡の場合、入射した光は入射方向には帰らず反対側に反射されます。

基板と反射板をそれぞれ軟質材で形成し、その間に空気層を設けることでステッカー全体の柔軟性を確保しているようです。確かに実物を触ってみるとプニプニとした感触で、基板と反射板が遊離していることが分かります。

ところで、この実用新案権(登録第3003535号)は1994年に出願されており、現在は権利が消滅しています。存続期間満了ではなく年金不納(登録料未納)が原因のようです。従って、この交通安全ステッカーの包装に「実用新案登録済」という表示等をする行為は、実用新案法第52条に規定する「虚偽表示の禁止」に該当することになってしまいます。虚偽表示には罰則があり、実用新案法第58条には、「1年以下の懲役または百万円以下の罰金」が科せられることが規定されています。さらに法人に対しては、三千万円以下の罰金が科せられることになります(実用新案法第61条)※。

もちろん過失の場合には罰則は科せられませんが、それにしても想像以上に厳しい処分ですね。
「特許技術」「特許成分配合」「国際特許取得」などの表示をよく目にすることがありますが、特許の場合はさらに重い罪になりますので、くれぐれもご注意ください。不安な方は弁理士などの専門家に相談することをお勧めします。