ステマと商標の関係

投稿者: | 2020年3月22日

「100日後に死ぬワニ」の完結とともに公式サイトから「書籍化決定」「映画化決定」「グッズ・イベントなど続々」との発表があり、巷では「最初から商品化ありきだったのか?」「ステマだろ!」「死んだ途端に商品豊富すぎて草」などと炎上しているようです。さらにはブームの背後に広告代理店が絡んでいるとして「電通案件」という言葉も見かけるようになりました。

私は昨日まで「100日後に死ぬワニ」のことも、またそれが一部でブームになっていることも全く知らなかったので、この件に関して特段の感情はないのですが、ステマの根拠として、商標登録のことに言及している発言を見かけましたので、この点について少しだけ触れてみたいと思います。

きくちゆうきさん作の「100日後に死ぬワニ」は2019年12月12日にTwitter上で連載が開始されたようです。
それから約1ヶ月後の2020年1月16日に、商標『100日後に死ぬワニ』が商標登録出願されています。菊地祐紀さんと株式会社ベイシカとの共同出願です。
ちなみに一部で誤解があるようですが、商標は出願中であって、まだ審査もされていません。登録されるためにはあと一年はかかります
指定商品(役務)については、特許庁のデータベースがメンテナンス作業中でしたので、明日以降できるだけ早急に調査して報告します。おそらくはグッズや書籍、映像に関する商品や役務が羅列されているだろうことは容易に予想できます。

以上述べた通り、「100日後に死ぬワニ」の連載開始から商標の出願までの間に約1ヶ月のタイムラグがあります。
これをどう見るか。
普通に考えると、「100日後に死ぬワニ」の影響力・訴求力(Twitterのフォロワー数etc)を奇貨とみた株式会社ベイシカが菊地祐紀氏にアプローチして、ビジネスパートナーとなり、その過程で商標を出願したという流れがみえてきます。連載開始前から両者に密接な関係があったとすれば、もっと早い段階で、理想的には連載開始前に出願するのが定石です。ブームに火がついた段階で出願することの危険性は、少し前の「PPAP商標問題」などでご記憶の方も多いでしょう。

もちろん、何らかの理由で出願が遅れたと考えることもできるでしょう。
菊地祐紀さんと株式会社ベイシカとの共同出願であることは、出願人を誰にするかで揉めた(検討に時間を要した)ことを示唆しているのかもしれません。出願人は最終的には権利者になりますので、出願人を誰にするかは非常に重要です。共同出願は法律上の制約事項が多く、一般には敬遠されます。どちらか一方を出願人(権利者)として、他方とは契約や覚書等で法的関係を構築する方がスムーズに物事が運ぶことも多いのです。

このように考えると、株式会社ベイシカと菊地祐紀氏は、商標の出願に際して十分な打ち合わせ時間をとることができなかった、もしくはそのような関係性を構築する間柄にまでは至っていなかった。従って、両者は先述したように連載開始後に初めて接触し、急いで商標登録出願した、などと邪推することもできそうです。

昨日まで「100日後に死ぬワニ」について何も知らなかったのですが、この記事を書いているうちに少し興味が湧いてきましたので、株式会社ベイシカが過去にどのような商標を出願してきたのかについて調べてみたいと思います。
「商標公報」や「公開商標公報」、出願の経過などから得られる情報は、以前のシトロエンに関する記事でも触れたように意外な背景を知ることができて大変興味深いのです。

【以下、追記】
「100日後に死ぬワニ」の商標出願について調べてみました。
詳細はここで確認できます。
出願人は、株式会社ベイシカと菊地祐紀さん。出願日は、令和2年1月16日。
注目すべきは指定商品の多種多様さです。
ロフトなどで販売されているグッズがほぼ網羅されています。
一つ気になったのが、東京・大阪でカフェの展開を企画されているようですが、「飲食物の提供」(第43類)が指定されていません。
もしかしたら他の名義で出願されているのかもしれませんが、これ以上詮索する気力がなくなりかけております。今後、大きな動きがあるようであれば調べてみるかもしれません。