コロナ禍で弁理士業務に変化はあったか?

仕事の意味抜きにこの記事を書いておりますので、今回は手短にまとめます。
なお、記事は弁理士一般の状況を俯瞰したものではなく、地方都市で開業する極小規模の特許事務所の近況報告といった程度のものです。

まず、例年と顕著に異なるのは、ここ1ヶ月ほどの間に係争案件の相談が急増したことです。具体的には、「商品を模倣された」、「ウェブサイトの名称が登録商標と酷似している」、「通販サイトの画像が無断で転用されている」などなど。
このような場合、いきなり訴訟に発展ということはなく、まずは、相手方の不法行為を指摘する「警告書」というものを送ったり、送られてきたりします。警告書を受けた側は「回答書」というものを返送し、不法行為には当たらないことを弁明したり、交渉したり、ごく稀には謝罪したりすることもあります。
係争案件の相談はときどきあるのですが、短期間にこれだけ集中して依頼があったのは初めての経験です。
先の見えないコロナ禍のなかで、今後の事業展開を少しでも有利にするためにとり得る手段はとっておきたい、という意思が感じられます。

それから、弊所がお付き合いさせていただいている中国の特許事務所から、「日本に医療機器を輸出したいクライアントがいる。どのような書類や手続きが必要か。」という相談もありました。日本で医療機器を販売するためには、厚生労働省もしくはその外郭団体に承認申請を行い、薬事承認を得る必要があるようです。明らかに弁理士業務ではないので、知り合いの行政書士を紹介しました。
正直なところ、やってみようかなという考えが一瞬頭をよぎりましたが、行政手続きには思わぬ落とし穴があるもの、餅は餅屋の精神で専門家に任せるのが一番という当たり前の結論に帰着しました。
ちなみに医療機器とは、ここでは明言を避けましたが、ご想像の通りコロナ禍に対処するための商品です。承認までにどれくらいの期間を要するのかは分かりませんが、効果が期待できる商品であれば1日も早く市場に投入できればよいのですが。

それからもう一つ、外出規制、自粛要請などの影響で仕事量が減少した経営者の方からの相談もありました。これまで漠然とイメージしていたもののなかなか具体化できなかったアイデアにじっくりと取り組む時間ができたことで、これを機に昔からの夢だった特許出願をしてみようと行動に移されたのだそうです。
「こんなアイデアを持ち込んできやがってと先生には笑われるでしょうが…」などと照れ臭そうに話される姿がとても印象的でした。